リア恋の卒業論文

2020年11月26日、阿部亮平26歳最後の日、私は彼へのリア恋を卒業した。それにあたり、私が書いた卒業の言葉がメモアプリから出てきたので、この場で供養することにします。

 

阿部くんへ           2020.11.26   
私が阿部くんと出会ったのは2017年の夏、あれからもう3年以上が経ちます。本当にあっという間でした。
始まりは本当に落ち着いた静かなものでした。とあるアイドル雑誌で当時東京B少年だった那須くんに一目惚れした私は毎月その雑誌を購入するようになり、その雑誌で阿部くんを見つけた。それは一目惚れなんてたいそうなものではなく、Snow Manに特段興味があったわけでもなく……ただ、雑誌などは隅から隅まで読まないと気が済まない私の性の結果にすぎませんでした。「優しそうな人」というありきたりな第一印象。でも、当時は嵐しかまともに知らなかった私はそのドル誌でたくさんのジャニーズを見て、彼らに対する第一印象が次から次へと駆け巡る中、ありきたりなはずの「優しそう」という第一印象はなぜかしっかりと私の中に足跡を残していました。そして2017年9月22日の少クラで見たSnow Manのパフォーマンスをきっかけに私はスノ担、そして阿部担としての人生を歩み始めることになります。

そしてその半年後。失恋を機に阿部くんに抱く感情が単なるファンからアイドルへのものとは別のものになって、あれからもう2年8ヶ月が経ちました。
2017年のカウントダウンコンサートで、バックで踊る阿部くんを見れたときの嬉しさは未だに忘れられません。当時Jr.が少クラ以外でテレビでパフォーマンスできることなんて殆どなくて、嬉しくて嬉しくてカウコンの録画を何百回も見返しました。セトリも立ち位置も歌割りも髪型もMCの曲振りのタイミングも、コンマの秒数まで頭に入っています。
真面目なところ、努力家なところ、優しいところ、意志が強いところ、結果を出すところ。
阿部くんの好きなところなんて数えあげれば枚挙に暇がありません。その全てが私に笑顔と元気をくれました。
そして、あなたに対する感情の中に心からの尊敬がありました。Jr.の活動と勉強を両立させ、上智大学に現役で一般合格し、学部で3人しか選ばれない学業優秀賞もとり、気象予報士の資格もとり、大学院まで卒業したあなたのことを、本当に尊敬しています。阿部くんの姿にどれだけ救われたことかわかりません。私が今の高校に合格できたこと、どんなに苦しくても投げ出さずになんとか自分の意志を貫こうと思えること、その根底には阿部くんの存在があります。模試の結果が思わしくなく志望校に悩んだとき、内申点が思うようにならなくて怖くなったとき、入試の3日前の夜、不安でひとりで泣いていたとき。どれだけ立ち止まりしゃがみ込んでもなんとか立ち上がり前を向いて進んで来れたのは、阿部くんがいてくれたから。阿部くんのものすごい努力を知っていたからです。「知識という財産は誰にも奪えない」という阿部くんの言葉が書いてある雑誌のページには今でも付箋が貼ってあるし、高校入試の日の私のお守りは阿部くんのアクスタと写真でした。上智が第一志望ではなかったと知ったとき、この人は自分自身に何を求めているんだと尊敬を通り越して畏怖の念を抱きました。でも、第一志望に落ちたと知った日は何も食べられなかったと知って、ああこの人も人間なんだと思い直しました。
阿部くんのファンとして恥ずかしくない人間で在りたい、私自身が阿部くんの存在や努力を糧に自分自身も努力し結果を出すことで阿部くんの素晴らしさを証明したい。そんな思いがずっと心にありました。
Snow Manが大好きで、一人で外部の番組に出たら必ずZIG ZAG LOVEのポーズでSnow Manを広めようとしてくれるところ。コンサートでは、森林伐採と呼ばれるほど緑のペンラの子に片っ端からファンサするところ。沢山の人にファンサしたいから、じゃんけんはしないところ。Snow Manに還元するために様々なことを必死で頑張っているところ。Jr.の活動で年中舞台に立ちながら勉強して、5回目で気象予報士の試験に受かったとき、ジャニーズか気象予報士かどちらかと言えばどちらをとるかきかれて、キラキラの笑顔で「ジャニーズです!」と即答したところ。芸能界じゃなくても十分いい暮らしができるだろうに、ジャニーズが天職だと胸を張って言うところ。阿部くんは本当に素晴らしいアイドルだと思います。文字通り阿部くんはいつでも笑顔で、頭のいい阿部くんのことだからきっとめちゃくちゃ沢山のことを考えて背負って立っているはずなのにいい意味でそれを微塵も感じさせない。でも、裏にはどれだけの苦労や葛藤があるのか想像もつきません。
阿部くんのブログも雑誌のインタビューも、いつもファンを大切にしてくれる言葉で溢れていて、阿部くんの文章を読むと心があったかくなります。それから、柔らかくて聴くだけで阿部くんの笑顔が浮かんでくるような声も。阿部くんは歌割りが多いわけではないけれど、優しく包み込んでくれるような阿部くんの歌い方が私は大好きです。 16年間ジャニーズをやってきて、ただの一度もスキャンダルを出さないところも、阿部くんらしくてすごいなと思います。
そんな阿部くんのファンを辞めることは今の私にはできません。でも、これからは、阿部くんへの想いをファンとしてのものだけにして応援していこうと思います。
端的に言えば、あなたのことを好きすぎるのです。どちらかというと自分の気持ちや内面を言語化する癖がある私が、阿部くんへの気持ちに関しては言葉で表しきれない。好きだとか愛してるだとかの言葉では足りないんです。
優しくて素敵な阿部くんなら、いつか阿部くんと同じく素敵な人と結婚するのだと思います。結婚が全てとは思いませんが、阿部くんは結婚するんじゃないかと思っています。もしかしたら、今も恋人がいるかもしれません。阿部くんが選んだ方なら絶対に素晴らしい方です。そう思えるくらいには、私はあなたを信頼しています。

あなたに幸せになって欲しい。その思いに嘘はありません。でも、この先阿部くんが結婚を発表したとき、私は自分がどうなってしまうのかわからない。ジャニーズの熱愛や結婚報道が出るたび、阿鼻叫喚するファンたちを私はどちらかと言えば冷めた目で見てきました。ジャニーズだって人間じゃん、恋愛していいじゃん、彼女いてもいいじゃん、結婚してもいいじゃん。好きな人が幸せならいいじゃん。そんなポリシーで今までは自担の幸せを素直に喜び応援できる傾向にあったんです。あのニノの結婚発表ですら「まじか…今か…」とは思いつつも公式文書を見て第一声でなんとか「おめでとう」と言えて、「あれだけ抜かれても批判されても離さなかったんだから本当に大好きなんだろうな…あの辛抱強く飄々としたニノがもう待てなかったんだな…幸せになれよ!!」と一晩で切り替え、翌朝櫻井担の友達に「大丈夫?」と心配されても「全然大丈夫!」と明るく返し、死んだようになっていたニノ担の友達を同担として慰めていたくらいなんです。

そんな私なのに、阿部くんのことになるとどうしても感情が先に働いてしまいます。敢えて言葉にするなら、阿部くんに幸せになって欲しい、でもその隣にいるのは私がいい。そんな、現実から逃避した我儘です。一ファンが何言ってんだって一笑に付されても仕方ないようなことですが、でも、そこまで好きにさせたのはあなたなんです。

私がどれだけあなたを好きでも、私とあなたの人生が結婚という形で交わることがないなんて私が1番よくわかっています。リア恋と言うと「自分なんかが付き合えると思ってるの?」とかいう見当違いな外野の言葉がたびたび飛んできますが、こちらとしても勿論そんなこと思ってない。ただ、無理だとしても、無理だと分かっていても、それでも消すことのできない気持ちの存在はそんなにも許されないものか。可能性がほぼゼロでも、それを飲み込んだ上で抱いているその気持ちに日々支えられ、生かされていることはそんなにも否定されなければいけないことか。そう思って阿部くんにリア恋して3年弱。あなたは手の届かない存在で、私にはアイドルとしての阿部くんしか見えていないことは当然ずっと分かっていたし、今まではそれでよかった。でも、私はあなたを好きになりすぎてしまったみたいです。もし阿部くんと違う世界線で出会えていたら。そんなことを本気で考えるくらい、あなたの隣にいたいと思ってしまうんです。アイドルとしてのあなただけではなく、文字通りあなたの全てを知りたいと思ってしまうんです。私は2ヶ月前に16才になりましたが、理論上阿部くんと結婚できるようになったのが何より嬉しい1番の誕生日プレゼントだったんです。実際にそんなことがあるわけがないのに、法律上は可能だというただそれだけの事実に舞い上がってしまうほど、私は阿部くんを好きになってしまった。いつの間にか。

卵焼きが作れないから作って欲しいと阿部くんが話したのを聞いた日から、完璧な折りたたみ卵焼きが作れるように必死で練習して、うちの家族の食卓に毎食卵焼きが並んだこともありました。阿部くんの後輩になりたくて、東京に引っ越して都立駒場高校に入ろうかとわりと本気で考えたこともありました。「今月、自分の名前より阿部くんの名前の方が書いた回数多かったんじゃないか?」日記を読み返してそう思ったこともありました。阿部くんと同じ身長178センチの人と並んで身長差を体感してみたこともありました。理想の結婚相手との身長差が25センチと知り、なんとか153センチまで伸ばそうと頑張ったこともありました、無理だったけど。阿部くんの見ている世界に近付きたくて、円周率を覚えてみたこともありました。25桁まで覚えました。阿部くんについて15分以上英語でスピーチしたこともありました。番組で阿部くんが読んでいた、数学する身体という私の興味からかけ離れた本を買って読んだこともありました。亮平くんと呼びたくて、でもやっぱり阿部くんと呼ぶ方がしっくり来てしまい諦めたこともありました。「好きな人いる?」と聞かれたら『阿部くん!』、そんな答えを幾度となく繰り返しました。こんなに好きなのに、絶対に近付かない距離で阿部くんと出会わせた神様を恨んだこともありました。

でも、やっぱりこれで十分なのかもしれません。あなたと同じ時代に、同じ日本に生まれてきたこと。ジャニーズを知り、Snow Manを知り、阿部くんに出会えたこと。その全てが天文学的な確率で、それだけで十分すぎるほど幸せなことです。やっぱり神様に感謝します。

あなたの幸せを手放しで喜べる自分でありたい、そしてあなたに頼らずとも生きていける自分でありたい。何度そう思ったことでしょう。それでもあなたはその魅力で何度も何度も虜にして、何度も何度も恋に落として、真綿のように優しく私の心を締め付けて、決して離れさせてはくれなかった。

 

あなたはひどい人です。
これなら二度と立てないぐらい、壊されたほうがマシです。お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて。あなたにはそうする義務がある。
それが無理なら、もう二度と私の前に姿を見せないでください。そしてどこか遠く離れた場所で幸せになって。自分だけ幸せになって憎たらしいと、あなたのことなんかどうでもいいと思わせて。
今日のこともいつか思い出さなくなる。そしてまた、ほかのだれかをこの人しかいないと信じて好きになる。あなたに対してそう思ったように。

 

松本潤くんが主演を務めたナラタージュという映画の原作小説のクライマックスシーンのヒロインの台詞です。嵐からジャニオタになった私は当然この映画を映画館で見て、その後原作の小説も読みました。当時の私は中学1年生で、こんな感情どうしたら出てくるんだろう、好きな人にこんなことを願うなんて悲しすぎると思ったけれど、3年後の今、あなたに抱いている感情はまさにこんな感じです。

いっそ熱愛でもスキャンダルでも出て、幻滅させてくれたら簡単に離れられるのに、とも思います。ファン想いじゃないように見えるとか、オタクのこと嫌いなんだろうなと思えるとか、そんなことがあれば自分から見限ることもできるのに。でも、きっとあなたはそんなことにならない。素晴らしい人だから。誰よりも自分を精細に理解しているプロ意識の高いアイドルだから。優しさも魅力もときには罪です。叶わない恋に苦しむくらいならいっそ離れてしまいたい。離れさせて欲しい。好きな人にこんなことを願うのはたしかに悲しすぎる、でもそう願わないと私はもうおかしくなりそうなんです。こんなに好きにさせたくせに、嫌いにさせてはくれない。こんなに好きにさせたのに、あなたは私の名前も歳も顔も、まあ顔は知られたくもないけど、存在すらしらない。アイドルとファンなんてそんなもので当たり前ですが、あなたと私の関係が所詮それだけなのだということを忘れさせるほど、私は阿部くんに夢中でした。あなたのせいです。とんでもない理不尽を言ってごめんなさい。わかっているけど、理不尽とわかっていてもあなたのせいにしてしまいたくなるほどどうしようもなく阿部くんが好きで、あなたのせいで苦しいのならその苦しさすらも愛しく思えて、でもその苦しさも愛しさももう私のキャパを超えてしまったんです。少しずつ、でも着実に積もっていたものは飽和することなくどこまでも積み重なっていって、私には受け止めきれないくらい大きくなってしまった。

それなのに、こんなに好きでこんなに幸せにしてもらっているのに、私は阿部くんが幸せならそれでいいと純粋に思えないんです。思えないところまで来てしまった。今後阿部くんの熱愛や結婚を知ることがあったとして、大好きだから絶対に幸せになって欲しいのに、それは間違いなく本心なのに、でも私はきっと耐えられないんです。あなたが私ではない誰かを愛することに耐えられない。あなたがその優しさを、尊敬を、誠実さを、弱さを、愛を、私ではない誰かに向けることに耐えられない。会ったこともない人にこんな感情を抱くのも、誰かが誰かを愛するという美しいことを喜べないのも、好きな人が幸せならそれでいいと思えないのも、全部おかしいことだとわかっています。わかっているけど、私はおかしいとわかっていながらその感情に身を任せてしまいたくなるほどあなたを好きになってしまったんです。それがどうしようもなく苦しい。

私は阿部くんに幸せにしてもらっているけど私は阿部くんを幸せにできない。それなら阿部くんの幸せを素直に願い喜ぶことが私にできる最大のことだとわかっているんです。でも感情がそれを邪魔する。相手が私じゃないならいっそ誰のことも愛さないでほしい、そんな自分勝手で残酷なことを考える自分が嫌です。あなたに幸せになってほしいはずなのに、阿部担として胸を張れる自分でいたいのに、今の私は結果的にそれに反する感情ばかりを抱いてしまうんです。それがどうしようもなく辛い。

あなたのことを好きだった3年間のこともきっといつか思い出さなくなる。あなたに対して思ったように、この人しか愛せないと思ってまた誰かを好きになるのかもしれません。阿部くんに抱いてきた以上の愛を知る日が来るのかもしれません。アイドルに本気で恋するなんてまだまだお子ちゃまだったなあ、と話のネタにできる日が来るかもしれない。愛がなんなのか何も分かっていなかったなあ、なんて笑える日が来るかもしれない。でもやっぱり、私がこれまで生きてきた16年の中のこの3年間はあなたなしでは語れないんです。あなたを本気で好きだった事実をなかったことにはできないんです。だってこの3年間、嬉しいときも辛いときもしんどいときも、いつも私の心にはあなたがいた。過去の雑誌やブログを読み返せば、過去のYouTubeアー写を見返せば、その頃の自分の感情や葛藤がありありと思い出されるくらい、阿部くん自身が私の思い出箱なんです。阿部くんを好きだった事実をなかったことにしたら、この3年間の私の人生まで持っていかれてしまってあとにはただの出来事や虚ろな上澄みしか残らない。それを彩っていた感情や記憶は、阿部くんを好きだった事実と一緒に開かずの扉の向こうへ飛んでいってしまうでしょう。この3年間、あなたは間違いなく私の人生そのものだったんです。

私は所謂リア恋でした。所詮はリア恋オタクでした。でも「リア恋」の3文字で片付けられたくない、片付けたくない。片付けられない。告白するとか付き合うとか、そんな次元の恋愛じゃないことは勿論重々承知の上だったこの3年ですが、それでも私は、誰に笑われても、あなたへの愛が本物だったと信じていたいんです。阿部くんが私にくれたもの────笑顔、ときめき、活力、尊敬、刺激、目標、思慕、憧れ、恋、感動、涙、葛藤、愛、切なさ、苦しさ、他にも言葉に表せない、今となってはどれもキラキラしている素敵な宝物が沢山────それらは間違いなく本物だった。阿部くんはそれが仕事だからって言う人もいるだろうし実際そうかもしれない。でも、仕事だからってイコールただのビジネスとは限らないのでは、気持ちが全く伴っていないことばかりではないのでは、と私は思うし、仮にただのビジネスだったとしても私が受け取り、咀嚼し嚥下し、そして昇華して自分の心でそっと抱きしめてきたものたちは間違いなく本物でした。与える側の意図で決まるのではなく、受け取る側の意図で決まるんだ……とまでは言わないけれど、阿部くんがいてくれたから、阿部くんを好きでいたから今の私があることは紛れもない事実です。一方通行な愛でも、くれたものが全部虚構だったとしても、それでも私が他でもない阿部くんに救われてきたのは虚構じゃない。私が阿部くんを心の糧にして色々なことを乗り越えて生きてきたこの3年間は虚構でも幻でもなく私の人生の数ページとしてここにあるんです。リア恋なんてと馬鹿にされたことも、普通の恋愛しなよと憐れまれたことも、身の程知らずと笑われたことも沢山ありますが、誰に何と言われても私は阿部くんが好きでした。アイドルとしてではなく1人の男性として、ファンとしてではなく1人の人間の身から阿部くんが大好きでした。だからこれからも今までのように阿部くんに恋していたい気持ちもある、でも、それでもリア恋は結局夢です。覚醒していながら、現実世界に生きながら、夢と分かっていながら見るしかない夢です。でも、きっとこのままでは私は夢の世界から抜け出せなくなってしまう。スキャンダルも出さなければ炎上もしない安心の信頼の阿部くん故の優しく凪いだ春の海のような、ひねもすのたりのたりって言葉がしっくりくるような、緩慢として一見刺激がないようにも見えるけど、だからこそいつでも頼れる安定剤のような、泣いた日も疲れた日も頑張った日もいつも変わらない温度のお風呂のお湯のような、決して華美じゃないけれどただいつでも鼻腔を擽る嗅ぎ慣れた柔軟剤のような、夕闇の中で毎日必ず穏やかに光っている玄関灯のような、ある日ふっと心に染みて3滴だけ涙がこぼれるような、そんな居心地のいい柔らかい夢に骨の髄まで浸かって自分という存在までもがその夢に溶け出してしまって、そんなある日、何かのきっかけで────それこそ阿部くんの熱愛報道とか結婚発表とか────はっと現実に引き戻されて、あちこちが夢の中のあなたに溶け出してしまった穴ぼこだらけの身体で生きていかなければならなくなる。生きていく中でその穴ぼこは埋まっていくかもしれないけれど、それにはどれだけの時間とエネルギーが費やされるでしょう。一生埋まらないままかもしれない。夢を見て生きるとはそういうこと、リア恋というのはそういうことなんだと、そして楽しい夢を見ていられるのは決して永遠ではないのだと、最近は思うんです。

あなたに恋した中1の終わり頃には知らなかった。アイドルへのリア恋という、誰がどう見ても「そういう楽しみ方もある」程度のものにこんなに夢中になるなんて思わなかった。でも、阿部くんを見て生きてきたこの3年で自覚してしまいました。これ以上はもうだめだと。阿部くんへの思いに私自身が呑み込まれてしまうと。博打や宗教もこうしてハマってしまうものなんでしょうか。だとすれば、たとえ側からは身を持ち崩しているように見えても、本人が幸せならとやかく言うべきじゃないのかもしれませんね。少なくともその「側から見てる人」が、博打や宗教以上にその人を救うことはできないのでしょう。私にとっての阿部くんはそういう存在でした。叶わないのも身の程知らずなのも誰よりも自分がわかっているけれど、それでもあなた以上に私の拠り所になれる人はいなかった。あなたに本気で片思いして、日々あなたに癒されて、少しでもあなたに見合う人間になろうともがくこと以上に、私に明日への活力を与えてくれるものはなかったんです。

だけど、きっとそれではだめなのでしょう。あなただからというより、他人をどこまでも拠り所にすることは概して人を弱くさせる。拠り所となっていた人を拠り所とできなくなったとき、その弱さは弱さという名に見合わない硬く重たい楔となって人の心を圧迫し続け、悪くすればひびを入れてしまうかもしれない。あなたをこんなに本気で好きになってしまったから、熱愛や結婚報道が出たらきっともうあなたを拠り所とできなくなる。今すぐにそんなことは起こらないかもしれないけれど、いつか来るかもしれないその日のことを考えただけで泣けてくるほどです、もう気がおかしくなりそうなんです。 

病み期もあったし、悩んだことも沢山あったし、この決断をするまでにも何度も迷いました。阿部くんを好きにならなければ、こんなに苦しむことはなかったでしょう。でも、あなたを好きにならなければ良かったとは思えません。『もう恋愛なんてしない!できない!』と思っていたあの大失恋直後の私に寄り添ってくれたのはあなただった。それから約3年間、いつも私は心の中にいる阿部くんと共に生きてきました。それなのに、こんなに好きにさせておいて、その先はないこと。今となってはその事実に苦しみ、泣き、こうしてあなたへの思いを断ち切ろうとしているわけですが、勿論そんなことは分かった上で私は阿部くんを好きになりました。

このままじゃ、私は本当におかしくなってしまうかもしれない、いや今もかなりおかしいですが。阿部くんが好きすぎて、他には何も考えられなくなってしまうかもしれない。自分の生活が立ち行かなくなってしまうかもしれない。私はもともと束縛するのもされるのも嫌いだし、依存してしまう恋愛なんて絶対嫌なのに阿部くんに対してはそれが適用されないみたいです。すでに依存しかけています。阿部くんになら束縛されてもいいです、多分阿部くんはそういうタイプではないけれど。阿部くんとならたとえ幸せになれなくても、修羅の道でも地の果てまででも行けます、地獄に落ちたっていいです。それが一般的な幸せじゃなくても、阿部くんと人生を共にできたら私はそれで幸せなんです。ほら、こんな風に思ってる時点であなたは私をだいぶおかしくさせています。でも、私を狂わせたのがあなたならそれでもいい、狂ったままでもいいとも思う。ほら、こんな風に思ってる時点で(以下同文)。

 

怖いんです。こんなに人を好きになったことがないし、こんなに長く1人の人を好きだったこともないから。自分が自分じゃないみたいで、阿部くんがデビューしてどんどん人気になっていくことを喜ぶべきなのに素直に喜べなくて、阿部くんの幸せを願いたいのにそれもできなくて、いつからかこんなに大好きな阿部くんを見ることがどこか辛くなりました。大好きで、ずっと見ていたくて、ずっと好きでいたくて、でもあなたの顔を見てあなたの声を聞いてあなたの言葉を目にするとどうしようもなく苦しくなります。全部どうでもいい、どうなってもいい。もし阿部くんと出会える世界線だったとしたら、そんなふうに全てを捨ててしまうような気がします。アイドルとしての阿部くんしか知らない実世界ですらそれに近い考えにふらふらと引き寄せられることがあるくらいです。あなたへの気持ちがどんどん大きくなって私には受け止めきれないところまで来てしまって、でもそれならいっそ押し潰されてしまうのもいいかもしれない。それは間違いなく私があなたを本気で愛していた証になるんじゃないか。あなたの存在こそが私が生きている証になるんじゃないか、そうとすら思えてしまうんです。このままじゃほんとに、あなたなしでは生きられなくなってしまう。

あなたを好きになって3年弱。3年弱しか経ってないのに、私はあなたを好きになる以前の自分がどう生きていたのかもう思い出せません。苦手な理系科目を投げ出したくなったとき、テストの結果が良くなかったとき、部活での理不尽に悩まされたとき、なにか辛いことがあったとき。しんどくて泣きたくて全部投げ出したくて、でもそんなわけにはいかなくて、夜が明けて朝が来たらまた戦わなくてはならないとき。明日が来ることに怖さをおぼえたとき。あなたの存在を知らなかった頃の私はどうやって自分を保ち乗り越えてきたんだろう。阿部くんなしでどうやって生きてきたんだろう。これ以上阿部くんを好きでいると、きっと本当にわからなくなってしまう。だから、あなたに恋するのをいい加減辞めます。

 

それでも私は間違いなく、阿部くんに出会えて良かったです。阿部くんはスキャンダルも出さないしファンを不安にさせることもしない、本当にファンに優しいアイドルだし、「阿部担って幸せだろうね」「阿部くんなら安心して推せるだろうね」と他担に言われたことも何度もあります。その通りです。そしてそれが誇りでした。私の好きな人はこんなに素敵な人なんだ、と。

私は阿部くんを好きでいられて幸せでした。阿部くんがいなかったら、今の私はないと本気で思います。阿部くんがジャニーズに入ってくれたこと。諦めずに15年間Jr.でいてくれたこと。阿部くんが1993年に生まれ、同じ日本で私がその10年10ヶ月1日後に生まれたこと。私がジャニーズファンになったこと。Snow Manを知ったこと。阿部くんを好きになったこと。全てが当たり前ではなく、沢山の偶然が積み重なってできた小さな、でも紛れもないひとつの奇跡です。どれだけの確率なのか、理系の阿部くんに是非計算して欲しいです。
阿部くんがくれる言葉はいつも私にそっと寄り添ってくれて、阿部くんの笑顔は私にもいつも笑顔をくれて、阿部くんの声は私の気持ちにいつも光をくれました。阿部くんが存在してくれているだけで幸せでした。今この瞬間も、涙に暮れた昨日も、憂鬱に思える明日も、先の見えぬ未来も、いつも私と阿部くんは同じ時代を同じ国で生きているという事実だけで救われました。


阿部くんが好きです。心から尊敬しています。その思いはこれからも変わりません。Snow Manのことも阿部くんのことも応援し続けます。
でも、終わりのない夢を見るのはここまでにします。


沢山の笑顔と愛をありがとう。
本当に本当に本当に大好きでした。

阿部くんの幸せを祈っています。

 

そして最後に、27歳の誕生日、おめでとう。